八朔です。


関係ないですが去年のM-1感想読み返して、ああ当時の自分はそんなに疲れてたんだと思いました。


本当に関係ない話でごめんなさい。以下感想。


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土肥ポン太『カッコ田ツケ男の大ビンゴ大会』 4点 440位

約一週間前、この方が一番手と聞いたときにはどうにも切ない気持ちになりましたが、全員のネタを見終わった後ではむしろ適任かと思いました。今回の関東勢は挑戦者サイド的な立ち位置の方が多く、ネタの構成がピンポイントでお客さんの温まった後でないと効果的でない芸人さんも多くいらっしゃったので。トップバッターとしてのお仕事、お疲れ様でした。
『バトルオワライヤル』を髣髴とさせるモノボケの連発から、中盤に張った伏線をベテランらしくキッチリ回収。全国放送で真価を発揮しつつポン太さんの魅力も存分に発揮されていて、番組的にもファン的にも納得のいく出来だったんじゃないでしょうか。まあ、ポン太さんの及第点的なネタ運びってそうそう見られるモンじゃないですし(笑)、ダダスベリだけは回避できたのでよかった、と。

並列的で今後のボケに繋がる小さいボケの破壊力がやたらと高いのが、いかにも土肥ポン太さんらしくて嬉しかったです。


徳井義実『ヨギータ落語』 456点 同点1位(決選投票:桂三枝)

もう「皆さんご存知の通り」でいいような気もしますが、変態的性欲猛プッシュとベタ&メタなお笑い職人観点の波状攻撃が社会不適合っぽい外人さんキャラです。非芸人ファンの方が管理人のサイトやブログでも頻繁に目にする名前のキャラクターだけに、お笑いファンには飽きられ気味を通り越して悪い先入観すら植え付けられていそうな印象もありますが、そういったレッテルを完全に払拭できたかと言われると、まあ、半々かな……、と。当日・翌日のはてなダイアリーだけ覗いてみて、そんな印象を持ちました。
「M-1優勝者としての期待値>去年からの伸び幅」なんですよね。今年行くならなんで去年決勝行ってないんでしょうか。

ところで『M-12005』の「ホームページ」、同『2006』の「ブログ」、そして今回の「mixi」と続いた一連のウェブ関連ボケですが、お客さんとの共通認識が取れつつ、なおかつ細かい部分を突いてるあるあるネタとして精度が高いからこそ、なのかもしれないです。「マイミク増えるといいね」って、言葉だけだとボケでもなんでもないですし。
昔『ごっつええ感じ』でやってた『実業団選手権大会』と同種の、ある世界では当然である事を当然と説明している事が面白いというタイプのボケ。徳井さんとは関係ないですが、こういうのを上手いこと組み替えて、天津以外の新たなオタク漫才・漫談が誕生しないでしょうか。


大輪教授『バカデミック数学』 409点 8位

台本レベルでは、8人の中で最も上だと思いました。オンバトでもよく見る「素因数分解」って、賞レースや観客審査型の番組でわりかし重要な「伏線と盛り上がり」が極めて合理的に組み込みやすい構造なんですよね。個々のボケを多重構造化して大きなボケに繋げる事が可能で、しかもそれを短時間でやれる。
しかし、お客さんに拒絶されていたというか、単純に笑いが少なかったのが残念。「確率」と「素因数分解」の二部構成にしたのはどちらかのネタで拾い損ねたお客さんを回収するための善後策だと思われるんですが、一本ネタで通して玉砕するなり圧倒するなりしたほうがネタ審査番組として見る側の心象は良かったと思います。

間寛平のコメントの冷たさが凄まじかったです。去年のキャプテンボンバー以降、審査員としての寛平さんを見てるとハラハラします。恐らく『R-1』のバラエティ性を保持する為(『R-1』って『M-1』のパロディ化というか、ガチとバラエティの両立を目指した番組なんだと思います。そして二兎を追うもの……)に存在する方とは思うのですが、今年はその枠に高田純次がキッチリ収まってしまい、余地が無くなってしまいました。


友近『デリバリーピザ・西尾一男』 439点 5位

「テレビで観てて安心する方の友近」。X-GUN(現:丁半コロコロ)の西尾さんが昔よくやってたオバちゃんネタもそうなんですが、異性のキャラクターを演じるほうが鮮度が出るんでしょうか。

今更、何を書いてもなぁ……。


ウメ『紙コント・悪モノ』 437点 7位

『R-1ぐらんぷり2006』のDVDを観た時から大好きなんですが、その初見のときからずっと引っかかっていた部分が今回も出ていたように思います。即ち、構成の素晴らしさと演じ手の愛すべき緩さが噛み合ってない弱点。ネタがリピートするという衝撃はそれ以前に構築したストーリーが強固である程強いので、ウメさんのキャラクターとは親和性があまりよくないんじゃないんでしょうか。
ただ、その親和性の悪さはネタ自体の完成度と同義では無いというか、これが競技性の高い番組じゃなかったら観る側にも相当受け入れられると思います。お客さんの理解度が高ければ高いほど笑えるネタなので、これをきっかけに色んなネタ番組に出てほしいです。昨年の『トツギーノ』に並ぶ衝撃は残せたはず。

ダンカンの東国原ネタは引っ張り出し方が少々強引(笑)。


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↓続きます。
http://diarynote.jp/d/54473/20070219.html
http://diarynote.jp/d/54473/20070219.html
↑の続きです。


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やまもとまさみ『修学旅行の朝』 438点 6位

三枝師匠の「叱りながらも、生徒に対する愛を〜」と言うのは、設定としての面白さと漫談としての面白さを両立しているとか、上手に素を見せて喋りつつ役を演じるテクニックとかを指してるのだろうと思います。実際、上手でした。ただ落とし所が普遍的で鮮度に欠けた印象。
『R-1』って『M-1』よりも裏方の書く青写真めいた台本が明確に存在する印象があるんですが、もしかするとこの方が最下位候補だったんじゃないでしょうか。ガチ番組回避としての。
まあ妄想ですが。


バカリズム『イニシャルで知る日本の歴史』 448点 3位

これって一定の法則性に基づいたギャグ100連発ですよね(笑)。
つまりネタの振り方よりも、言葉の響き自体が重要になる。Tたかい(発音:ティたかい)とかTっぽう(発音:ティっぽう)とか、T絡みの単語が鉄板なのは見事な発明だと思いますが、個人的にバカリズムの中でこれがベストなネタと思えないのは、『トツギーノ』に見られた驚異的な笑い所の組み込み方と技術の圧縮力がそれほど垣間見られなくて、その分だけボリュームダウンしてる印象だからなんです。

ただ「賞レースで勝負に行くバカリズム」という奇跡に近い映像を今後もテレビで見続けたいので、来年また勝負してほしいです。
ところでこのネタって『スネークマンショー』のジャンキー大山みたいです。「私は猛烈にかンタマがキゆいのです!」みたいな。


なだぎ武『ディラン・EXILEのオーディションへ』 456点 同点1位(決選投票:高田純次・間寛平・太平サブロー・ダンカン)

もう、オーディション会場の看板掲げられたバックであのBGM流れただけで私的ベスト3は確定。そのオーディションがEXILEの新メンバーと発覚した時点でこの4分間、何が起こっても許すモードにスイッチが切り替わりました。CDの13曲目がTOM★CATの『TOUGH BOY』って、手前の12曲は何が入ってたんだろう。「何が愛のメモリーだ。愛はメモらない、絶対に、メモらない」って二度繰り返した心境って何だろう。

無駄に考えれば考えるほど嵌るディラン地獄。もはやビバリーヒルズ青春白書関係ない、純正なだぎ武のキャラクターショーでした。ああ面白い顔芸。
「あのBGM」が流れた瞬間のお客さんの異常なテンションが印象的でしたし、自分も大いに笑ったのですが、全国的にあのキャラクターが浸透したのってここ数ヶ月ですよね(今回の収録は大阪でしたが)。『R-1』とは関係ない部分ですが、凄い。

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・凄まじい僅差と、最後の決選投票を見比べて思ったのですが、やっぱり審査員の点数は公表すべきなんじゃないでしょうか。漫才よりも審査が難しいので、それなりに審査員を擁護する措置も必要だとは思うんですが、いや、でも、やっぱり。
観る側にあまりにも審査の意図が伝わっていないです。アピールできるのがわずかな審査コメントだけの為、実際どのような審査を演じ手へ下したか伝わりきらず、誤解されているように思います。

・本来性質の違う、同日放送の『爆笑レッドカーペット』なんかと比較している人が多いという時点で『R-1』は賞レース番組として負けているように思うのですが……。今年の失敗と去年の失敗はその多くが別次元の部分に問題があるとは思いますが、それを含めてもう少しどうにかならないのでしょうか。

・……まあ、今年も爆笑してしまったんですけど。
八朔です。


では以下、出番順に(決勝・最終決戦含めて)。


・POISON GIRL BAND「服装」
前々回出場時、春風亭小朝師匠に「ツッコミのテンポが速い」とダメ出しを受けた時よりもさらに吉田さんのツッコミが早かった気が。それも含めて前半は空気作りが上手くいってなかったように思います。後半のマグロを履くくだりは好きなんですが、2年前よりも印象は薄い。『2004』の603点から今回の570点と低下した点数は奇遇にも自分の心象と同じ。出番順はそんなに関係なかったかも。


・フットボールアワー「戦隊ヒーロー」「居酒屋(取り皿)」
一度、賞レースを争うレベルから上のランクに行った人達が戦うためそのレベルへ降りてくるのはやっぱり難しいと思いました。優勝した当時の勢いを取り戻せてなかったです。逆に言えば岩尾さんの怪演とか抜群のツッコミの間とか、ピークを過ぎたにも関わらずあのレベルを保てるのは凄まじいんですけど。
お笑いファンからすれば二本共に既出も既出の鉄板ネタだったんですが「戦隊ヒーロー」は以前よりもかなりイジってたようでした。有料チャンネルとデリヘルのくだりとか。足した部分が下ネタな点は好き。


・ザ・プラン9「天使と悪魔」
今まで観た漫才の中では「RPG」の次くらいに5人が存在する意味があるネタだったように思います。ネタの素材自体はオーソドックスなんですが(最初のボケで両方とも悪魔が出てきた時は背筋が凍るかと思いました)、フォーメーションの使い方も良かったですし。一つのボケ・ツッコミが中だるみになってしまうのは3人以上いるグループの命題ですね、超新塾みたく無理やりハイスピードにするしか改善の方法はないでしょうか。それでもやっぱり個々の立ち振る舞いが上手いというか、カッコ良いです。登場時、白のスーツが映えてました。


・麒麟「ボクシング」「探検隊」
さすがに当て振りのネタが続くと、既視感がキツいです。アベレージは非常に高いんですがハイスコアは……。
それでも、このメンツだと全く見劣りしません。これまでの決勝と比較して目新しい点は特に無かったんですが、テンカウントのオチとかiPodは流石でした。


・トータルテンボス「グルメレポート」
うん、このコンビの言葉遊び大好き。
豚骨ラーメン調理部分の引っ張り方が少々くどかった辺りが気になりましたが、ネタ運び自体に問題は無かったように思います。ただ最も針を振り切ったポイントが「トンコツ」のイントネーションだった辺りがこの結果、というのにも納得。山場を作りきれなかったのが惜しい。構成の練り上げ方が今後の課題でしょうか。


・チュートリアル「冷蔵庫」「自転車のチリンチリン」
圧勝。「ボケ側に妙なスイッチが勝手に入っていく」というスタイル、M-1の後は多用しないでほしいなぁ。今後、至る所で「バーベキュー」的なものは求められるだろうけど、それに固執しないでほしい。大好きだけど「はてなのこうちゃん」みたいに徳井さんの変態性を活かせるパターンは幾つもあるので。

決勝のネタは、数々のテレビ・舞台で演じ推敲した「冷蔵庫」、最終決戦のネタはテレビと舞台で数度かけただけ、隠し玉の「自転車のチリンチリン」というのは『2003』のフットボールアワー「結婚記者会見」「SMタクシー」のネタ選びとほぼ同じ。感慨深かったです。


・変ホ長調「セレブへの道」
今後のアマチュア出場者の路線を定義した感があり。即ち発言責任を取らずに番組を盛り上げられる役(笑)。
ビデオを3回見返しましたが、3回目はここで最も笑いました。しばらくしたら音声だけ録音してiPod nanoに放り込んでるかも。毒舌あるあるでここまで突き抜けられれば決勝進出も納得です。身動ぎがほとんど無く、セリフと間だけであれだけ笑いが取れるっていうのは凄いと思います。


・笑い飯「しつけ」
今年の笑い飯は、決勝用のネタを用意できませんでした。
「奈良歴史民俗博物館」のように序盤の構成が綿密なネタ、「ハッピーバースデー」のように数多のボケが次々と場に加算されていくネタ、そしてそれを凌駕できるネタ、どれも用意できませんでした。終盤の畳み掛けはさすがですが、それで優勝できるならば『2003』『2005』のどちらかで優勝したはずです。
残念です。


・ライセンス「ドラえもん」
構成と演技、間の取り方は抜群だっただけに、ネタ元選択が……。でも、敗者復活戦を勝ち抜いたのは納得です。ヤクザの辺りでお客さんがヒきそうになってたんですけど、頭を下げるのび太と指を詰めた結果のドラえもんが綺麗にハマってました。


観終わって直後の感想は『2004』みたいだったな、と。POISON GIRL BAND、ザ・プラン9、変ホ長調と決勝進出した新機軸な方達は昨年のチュートリアルクラスの笑いを要求されてた筈なんですが、そこまでカマせたグループはいなかったように感じます。いやPOISON GIRL BANDは過去決勝進出者なのでサプライズ扱いは不適格かもしれませんが、個人的に南海キャンディーズ的な立ち位置を期待してたので。非正統派としての展開を。
八朔です。


『M-1グランプリ2006』決勝進出者+出番順
http://asahi.co.jp/m1gp/cyojyo/9kumi.html

1.POISON GIRL BAND(吉本興業 東京)
2.フットボールアワー(吉本興業 東京)
3.ザ・プラン9(吉本興業 大阪)
4.麒麟(吉本興業 大阪)
5.トータルテンボス(吉本興業 東京)
6.チュートリアル(吉本興業 大阪)
7.変ホ長調(アマチュア)
8.笑い飯(吉本興業 大阪)


昼飯食う傍らでケータイ開いた直後に驚愕したんですが、帰宅後に大阪準決勝の観戦レポを漁っていると、ほぼ全員が変ホ長調をベタ褒め+決勝を確信した感想を書き残されていたのでとりあえず納得。『2005』の敗者復活と『R-1ぐらんぷり2005』に参加していた際のネタはチェック済みなんですが、とにかく言葉のセンスが巧みです。巷では「大阪の素人おばちゃんが持つ面白さを存分に活かした〜」みたいな書かれ方をしてますが、関西人だから、おばちゃんだから面白いなんて簡単に語れるレベルじゃないです。あくまで演者の力量が凄い。
というか、『M-1』『R-1』以外での活動を全くされていない「素人」という意味でのアマチュアな方々が、他の舞台で場数を踏まずに決勝進出、な事実がすさまじい。

http://www.youtube.com/watch?v=ehCOjPLLQI8
↑『2005』敗者復活戦の様子。


そんな変ホ長調を除けば、特に意外性のある選出ではないと思います。過去に決勝進出経験のあるコンビが6組、残るザ・プラン9もこれまで観てきた漫才から考えれば通っても不思議ではないですし。

事務所だけ見ると「吉本偏重か」「芸人の名を売りたいだけか」と思いますけど、この中で『M-1』に出て芸能活動上何らかの効果がある吉本芸人なんていない事に気づいた昨今。みんな既に名前を売りすぎていますし、そんな目的があるんならNON STYLEか天津を上げます(天津のオタク漫才はメディアに露出すればするほど効果が跳ね返ってくると思うんで。若井おさむ的な感じで)。


そんな訳で、POISON GIRL BANDのトップ出番に合掌しつつクリスマスイブを待ちます。
八朔です。


『M-1グランプリ2004』の敗者復活戦で凄いことやってたアマチュアコンビ「はだか電球」の漫才発見。ずっと探してました。

http://www.youtube.com/watch?v=cC8SgsYahZo

「設定だけで笑わせてる」のが凄い。でもさすがに4分でこれは飽きられるかと思って観てたら、2分半辺りから世界設定が急激に変わります。


他、同『2004』『2005』の敗者復活戦で好きなコンビ。

http://www.youtube.com/watch?v=434qcBofB7o

エージェント。毒舌あるある系。ネタのチョイスもさることながら、ノックしてる時の素振りが面白いです。
ちなみに左の人、今年は『藤崎マーケット』で準決勝進出中。


http://www.youtube.com/watch?v=jKfKqF895eA

鼻エンジン。
最後の伏線回収が『フォークダンスde成子坂』っぽくて好き。

もっと見続けていたかったです。


http://www.youtube.com/watch?v=Uw-3zVvJnB0

天竺鼠。
方向も終点も見えない漫才。何かしらのはずみで決勝進出してくれないでしょうか。


http://www.youtube.com/watch?v=vxNFyDPkcpI

学天即。
アマチュア。というか素人。で、準決勝進出。これが史上5回目の漫才だそうです。つまり『M-1』一回戦が初漫才。
そうとは思えないほどツッコミ担当の言葉選択が見事。


http://www.youtube.com/watch?v=_Vq5D81KlBY

ストリーク。
野球漫才。ボケ側の第一声が全てを象徴しています。


http://www.youtube.com/watch?v=oTrz4HfU7d8

ザ・パンチ。
『2005』の敗者復活戦、トリを見事に務めたコンビ。人には死ぬ手段と理由がいろいろあるんですね。


http://www.youtube.com/watch?v=5PZ8IQYMMW8

ガブ&ぴーち。
キザ。ここも決勝で日本全国民を驚愕させてほしかったんですが、今年は残念ながら3回戦敗退。



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ちなみに今年の決勝進出予想。

・チュートリアル
・麒麟
・フットボールアワー

ここまでは通過確定。格が違いすぎです。万が一落ちても敗者復活で絶対、上がってきます。
あとチュートリアルは今年優勝します。おめでとうございます。


・笑い飯
・アジアン
・NON STYLE
・ジャルジャル
・チーモンチョーチュウ

笑い飯が通過確定じゃないのは、準決勝・敗者復活の両方を落とす「万が一」の可能性が上記した三組よりも高いため。それでも決勝ストレートインの可能性は十分にあります。

アジアンは今年もう一度、本領を発揮できるコンディションでの漫才を、あの舞台で観たい。

NON STYLEは、今年最も勢いのある漫才コンビ。上方漫才大賞優秀新人賞、MBS新世代漫才アワード優勝、NHK新人演芸大賞演芸部門大賞。つーかM-1出ようが出まいが売れます。

ジャルジャルは、本来コント中心に演じるコンビ。名作「英会話学校」を漫才用の脚本に変えて快進撃を続けているそうです。

http://www.youtube.com/watch?v=IJL89Lb6CGA
↑これが「英会話学校」の1分コント版。
これが漫才になってる様子が想像つきません。優勝とか関係なくもう観たくてしょうがないです。

チーモンチョーチュウは他の準決勝進出コンビとの能力差をあんまり考えず、単純に好きなんで入れてみました。
『爆笑オンエアバトル』の公開収録に行ってきました
収録場所は大野城まどかぴあ大ホール。放送は12月8日だそうです。八朔です。


出番順に感想を書いていきますが、全てネタバレしてます(反転しようと思ったんですがDiaryNoteの仕様で無理でした)。あと一応ネタの大筋と点数は手持ちのメモで走り書きしたんですが、ネタ順も含めて一部間違っている可能性大です。さっき某所で正誤チェックしたらちょっと食い違ってましたし。















・アジアン 漫才「ひっかけ遊び」 473KB(オンエア)

『M-1リターンズ』でやってたネタですね。
「貴乃花の顔がプリントされた、バスマット要る〜?」。
これも含めてアジアンのネタは、やってる本人達が楽しそうだから見ている側もそれに乗せられて笑う、みたいな雰囲気に満ちていて、ボケ担当である馬場園さんの言葉遊びのセンスとそれを客観視する隅田さんの友達以下、他人以上の絶妙な距離感の関係性が観客にどれほど伝わるかがポイントになってくるんですが、今回のお客さんの反応を見る限りだとそこまでこのコンビの見方は浸透していなかったみたいでちょっと残念。トップ出番という事もあって、獲得玉数は多めでした。


・ビーム コント「居酒屋の親子」 397KB(オフエア)

居酒屋に親父を呼び出した息子が、結婚の許しを得ようと説得するネタ。こう書いてみて初めて気づいたんですが、娘方の父親ならともかく、実の父に結婚報告するシチュエーションってお笑いネタじゃ珍しいですね。
構成、個々のボケ、テンポ等、今日の10組と比較しても及第点以上のネタでした。居酒屋までの道程をひたすら迷った事をことさら面白そうに話す親父と、それに飽きてる息子(と観客)の構図が面白かったです。出番がもう少し後ろだったらオンエアもあったかもしれません。


・ビックスモールン ショートコント「ブルースリー、プッチンプリン、他」 397KB(オフエア)

最近ネタ番組に姿を見せなかったビックスモールンのまさかの登場に、会場騒然。
ネタの内容は、まさに「いつもの」としか言いようがない、アホマイルド・イヌがニャーと鳴いた日と並ぶ「芸人界三大腰に悪そうな肉体芸」でした。ここまでどことなくお客さんのリアクションが固かった会場も独特のテンションに包まれて、すっかり緩くなってました。それだけにオフエアは残念。


・5番6番 漫才「学級崩壊」 433KB(オンエア)

教師のメアドを聞き出そうとしたらドメインが「rorikon」だったとか、そんな感じのネタでした。
……ダメだ、ボケが前後の構成と切り離されてるから、どうしても詳しく思い出せない(即ちこのコンビの弱点)。
最近ネタの作られ方がますます爆笑問題に似てきた5番6番ですが、もし爆笑問題まで到達してしまったら、その後はどうするんでしょうか。あの偉大な先輩の生み出した漫才のフォーマットって時事問題の裁き方としては見事だけれど、そこから離れて「ところで俺達も高校時代の同級生で〜」みたいな通常のネタにシフトチェンジしてしまうと、途端に一種のボケに一対応のツッコミのみ放る雑な漫才になってしまうので心配です。


・エレファントジョン 漫才「別れ話」 481KB(オンエア)

この辺(5組目から7組目くらいまで)、ネタ順が曖昧です。ここと5番6番のネタがボケ→ツッコミ、ボケ→ツッコミの連続でネタ全体の印象が散漫なせいでしょうか。なので個々のボケだけおさらいしていくと「なんで彼女の腕の掴み方が平社員みたいなんだよ!」「俺が彼氏役だからお前は女やれよ!」など。
ボケの方は以前に組んでいたアメデオの頃から好きだったんですが、現在のコンビになってからネタの作り方が今の世代の若手芸人が作るネタに沿いすぎている感があるかも(天丼の細かい繰り返しとか、言葉の端々は面白いのに淡白なツッコミとか)。


・オジンオズボーン 漫才「指揮者 → 怪盗」 497KB(オンエア)

本来だと若手芸人が若年層にのみ向けた漫才・コントをやっちゃうと、その狭小さからくる特有の寒さが出てくるものなんですが、ここやNON STYLEは一歩抜け出た感じ。今回も大人の観客を目一杯笑わせてました。
ネタは「指揮棒の拍子に合わせていろんなシチュエーションに挑戦」「怪盗の侵入から去り際までを何度も繰り返す」と同じパターンをリピートする内容だったんですが、個々のボケの振り幅が大きく、観ていて全く飽きませんでした。特に「怪盗」は以前の松竹芸能ライブ「チクる!」でも観たネタの縮小バージョンだったんですが笑ってしまいましたし。


・瞬間メタル 男のショートコント「男の身体測定、男の道の聞き方」 381KB(オフエア)

ここも「いつもの」でした。拳から龍が出てました。本ネタと関係なく長渕剛の歌を熱唱していました。
面白かったんですが他にあんまり書くことないです。


・マキシマムパーパーサム 漫才「相方のハゲ弄り → スポーツに挑戦」 205KB(オフエア)

今回唯一の初挑戦。全国的な知名度も最も低いコンビだったためにその内容を期待していたのですが……。残念でした。
ハゲ弄りがしつこく続いたせいで観客が離れていったのが一番の原因だと思いますが、ボケも他のコンビと比較してなかなかクリーンヒットしていませんでした。ただ上記キロバトルほど絶望的な差があったとも感じられない内容だったので、今後に期待してみます。


・コンマニセンチ コント「全力兄弟」 337KB(オフエア)

……あー、ビックスモールン・瞬間メタルがダメだから、ここもダメか。福岡収録・前半は一点突破型のコンビ、ほぼ撃沈です。
個人的には10組の中で一番期待していただけに、お客さんの反応が引き気味だったのは残念でした。


・ヤポンスキー コント「BORN FANTASY(脳を鍛える紙芝居)」 433KB(オンエア)

トリにしてようやく、パイプ椅子等でない=必要最低限でない小道具(この場合はフリップ)を使う変化球タイプのコンビが登場しました。……いや、肉体派変化球ならここまで半分くらい出てきたんですが。
MANZAI-Cに始まり、いつもここからを経て、次の世代を担うフリップ芸人はここだと断言できます。描くキャラが可愛い。狭義のお笑いの範疇には入らないが広義の範疇には入る。ボケの精度も上昇している。お笑いオタ以外の人たちに愛される条件がここまで揃い始めていれば、期待だってします。



まとめますと、観客席には通常の東京収録よりも年配の方や男性が多く、評価も一般人寄りのものになったような気がします。オンバトではよく、単純に小ボケが滑った場合と、次以降に繋がるボケのために布石として置くボケの両方を同一視して「つまんないボケ」と判断したかのような裁定が下るんですが(加えて、おぎやはぎやPOISON GIRL BANDのような大きく笑わない間=つまんない間、と判別したり)、今回もそんな感じでした。
別にそう判断する審査員・観客が悪いんじゃなくて、ここまで特色が明らかな舞台なんだからそれに合わせたネタをきっちり用意し続け、連勝を続けるタイプの芸人さんがそろそろ現れてもいいんじゃないかな、とは思うんですけど。


個人的には、十組とも面白かったです。これが通常の公演だったら2500円くらいなら余裕で出します。これが往復ハガキ1枚で見に行けるんだったら(実際には10枚出して当たった)、そりゃ受信料も払います。
八朔です。


http://www.geneon-ent.co.jp/movie/bakarhythm/cm.html

公式サイトでは「トツギーノ」のフルバージョンを見る事ができます。『R-1ぐらんぷり 2006』とは内容が違いますので、ファンの方もそうでない方も是非ご覧ください。


DVD自体と関係無いどころか内容に全く触れていない潔さがとっても好きです。
博多華丸に最敬礼!!


八朔(福岡生まれ・福岡在住)です。


昨日、全国ネットで放送されたピン芸人の闘技場『R-1ぐらんぷり2006』。
今回はタイマー録画に成功しましたので感想を書きます。



・友近「新体操部」
ネタの内容よりも「野球部のOBが高校の部活動に顔出してフリーバッティングに来たようなウザさと技術の確かさ」というダンカンの的確すぎる例えと、ネタが始まる前に弟が言った「悪ぃけどコレ、友近がレオタード姿で出てきたら早送りするよ」という発言ばかり印象に残ってます。なんか以前見てえらくムカついたネタなんですって弟。
まあ人物描写の素晴らしさやら純粋な演技力だけならば評価されてしかるべきな方なのですが、前回のウインナー試食おばさんよりは笑いどころを大幅に増やしたとはいえ賞レース好みの訴求力は無いように思えます。
ここまで来りゃもう素直に中森明菜のモノマネでいいんじゃないかって気もしますが。
『R-1ぐらんぷり』全大会に出場している友近ですが、『M-12005→2006』の南海キャンディーズのように、演者への期待値が高騰した結果それに応えられず評価が下がり、『2001→2002→2003』のフットボールアワーのようにきっちり応えた場合は優勝へのチャンスが生まれる、という指数関数的な図式から考えた場合、友近がフットのようになれる可能性というか方法は、もはや皆無に等しいのではないか、と思います。


・バカリズム「トツギーノ」
もう超好き。文句なしに好き。というか演出手段が特異すぎて迂闊に否定できる要素が少なすぎ。
友近と同じく賞レース向けではない方なのですが、その分お笑いファンは穴埋めできる程度に評価するべきだと思います。いや4分でここまで純度の高いネタを演じきれるなんて本当に凄い。
ネタの基本は、物語のようなものを途中まで見せて「トツギーノ」の言葉と文金高島田で粉砕する、芸人用語で言うところの「すかし」と、それを繰り返す「てんどん」。で、ネタが展開するごとに「トツギーノ」の幅が広がったり狭まったり、物語自体に笑う箇所が生まれたりとリズムを乱すポイントを作り、最後はさだまさしとジョルジーニョに文金高島田を乗っけて大オチへ展開。
いや、笑いを生み出すために用いられた技術は古典的なものが多いのですが、それを分解・再構築する構成力が見事で、全く無駄な箇所がありません。驚異的な圧縮力です。


・中山功太「DJモンブラン」
面白いです。本当に面白いです。ですが、なぜか評価されません。
『OLあるある』としてひと括りにするには勿体無いほど考え抜かれたシチュエーションとフレーズ。「DJ」という架空のツッコミとその演出。半端に似合う女装。どこから見ても素晴らしいネタだと思います。個人的にも大好きです。あまりにも好きすぎて「この方のどこが否定されているのか」なんて見当もつきませんが、もしかすると、と思い当たる点を一点だけ挙げてみます。
中山功太特有のアナーキーな雰囲気は「DJモンブラン」に限らずどのネタにも存在し(むしろこのシリーズはそれが薄いほう)、せっかくの若年層向けなネタの匂いをそれで遠ざけている感じはしなくもありません。古谷実の漫画を髣髴とさせる鋭角的な人物描写のイタさは、そのデフォルメを許さない姿勢からこそ生まれるのですが、硬派すぎるのも「分かりやすさに欠ける」として低評価に繋がるのかもしれません。私は中山功太がそんな方向へ譲歩する姿なんて絶対見たくないですが。


・キャプテン☆ボンバー 「アメリカの文化」
……うん。巷で吉本枠とか政治的権力とか言われてますが、その批判(なかやまきんに君とのダブルエントリー問題も含む)もやむなしといったネタだったと思います。明らかに他のメンツよりレベルが下でした。
勢いだけのわりにフレーズは練り込まれておらず、本来のせていかなければならない客のテンションも重めで、一部ではちょっとヒいてる観客の声も聞こえました。特効のクラッカーも空しく飛び散りましたし。
私は東京・大阪の準決勝を全く見ていないのですが、観客だった方のレポートを読む限りでは他に良い芸人さんがいたのではないでしょうか。日曜4時という時間帯から、番組を彩る広告塔は友近と共に必要なのかもしれませんが、本当にこの『R-1ぐらんぷり』を『M-1』のように芸人や視聴者にとって意義あるものにしようと考えた場合、こういったバラエティ色は不必要なのでは、と思います。


・あべこうじ 「ソーセージ」
実力派。前回も実力派、今回も実力派でした。
前回のように表情やわざと台詞を詰まらせることで観客の呼吸を掴む演芸的技術が今回無かったのは残念でしたが、その代わりに台本レベルでの完成度が恐ろしく高かったです。
「ソーセージ」の話、「バイク」の話、「三味線」の話をそれぞれ並べ、ときおり時系列をズラしながら展開していく技術に感服しました。素晴らしいです。三味線→シャウエッセンのような言葉遊びからリンクさせたり、それ以下の思い付きから話が飛ぶ辺りの自然さ或いは投げっぱなしさも好感触。全然落ちてこない話のテンションもカッチリやりきった大オチも見事。来年こそ優勝してほしいです。


・浅越ゴエ 「しっくりこないニュース」
ものすごい安定感でした。
2年前の優勝時よりも更にブラッシュアップされた構成にまずは感動。臨時ニュースのくだりはもっとウケるはずだったのだろうと推測できますが、あの重い空気の中であれだけ笑わせられれば充分だと思います。それゆえに磐石さがネタの振り幅を狭めたのか、どうも次の展開を楽しむ雰囲気に欠けた印象もあります。


・岸学 「教師へのイジメ」
どきどきキャンプのネタは過去に2本見たことがあるのですが、岸さんの表情ってどれも凄いですね。人を惹きつける挙動不審さに満ち溢れてます。揺れ動く目、薄ら笑い。もしかしたら単に緊張していただけなのかもしれませんが(笑)、とにかくあの芸人気質は凄まじいと思います。
ネタも各フレーズの多くがヒット性。「バイクに凄い改造をしたのは誰だ!」は強い。ここからもう少し、岸さんのキャラクターショーというか、不憫さがありありと見えるような描写を強くしていけばもう少し点数は伸びたかもしれません。
とりあえず、今の挙動不審なキャラクターを全国ネットで大っぴらに映せた今回の出演は大成功だと思います。今後はコンビで頑張ってください。


・博多華丸 「児玉清研究発表」
おめでとうございます!「ピィース!」の博多華丸特集、感動しました!ああ福岡県民で良かった。
太平サブロー師匠のコメントとは裏腹に、さ行は「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」からの流用なのも影響したのか若干スベり気味でしたが「アタックNo.1」が見事にクリーンヒット。大爆笑でした。あまりにも完璧にハマって驚きました。
上述の特集で「エントリーのきっかけは相方の博多大吉とマネージャーが共謀して」「ネタの台本は大吉が大いに協力」の事実を知り感動しましたが、最も驚愕だったのは「準決勝で使う「アタックNo.1」の台詞を大阪のビジネスホテルで考える様子」の映像でした。アレ何日も前から用意してたんじゃないんですか!?



以上。超笑いました。
八朔です。


http://www.owarai-tower.net/R-1GP/
http://osaka.nikkansports.com/f-ot-tp0-060212-0055.html

2月18日に決勝が行われ、その翌日に全国ネットで放送されるピン芸人の祭典『R-1ぐらんぷり 2006』。
その決勝進出者が発表されました。


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浅越ゴエ(吉本興業 大阪)
あべこうじ(吉本興業 東京)
岸学(ケイダッシュステージ)
キャプテン☆ボンバー(吉本興業 大阪)
友近(吉本興業 大阪)
中山功太(吉本興業 大阪)
博多華丸(吉本興業 東京)
バカリズム(マセキ芸能社)

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・博多華丸。
福岡県民としてこの晴れ舞台をどう見届ければよいのでしょうか。もう涙で目がかすんで前が見えません。
決勝のネタは恐らく、児玉清。『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で100万円を獲得したアレです。準決勝観戦レポを掲載しているお笑い系サイトの評価も相当高い様子。こないだの札束、一気に6束まで増やしちまえ!


・『R-1ぐらんぷり 2004』の優勝者、『しっくりこないニュース』でお馴染みの浅越ゴエ。
決勝戦の常連にして非フレーズ系漫談の使い手、あべこうじ。
女版イッセー尾形、友近。

今更、特に言うこともありません。楽しみにしております。安心して楽しませてもらいます。


・つい先日、電撃解散を発表したバカリズム。
http://www.maseki.co.jp/main/Profiles/BAKARHYTHM/bakarhythm.html

準決勝で披露したネタは、コンビ時代に発売されたDVD『フルーツ』に収録されていた『カエリーノ』だそうです。
私、そのネタ大好きです。恐らく決勝も同じネタで挑んでくるでしょう。アレがテレビで見られるってだけで満足です。
……いや期待していないとかそういう意味では全然なくて。今も昔もこれからもずっと好きです。影の仕事、ラジオ挫折。


・岸学って誰だ? と思って調べてみました。
↓どきどきキャンプのボケ担当の人らしいです。
http://www.dokidokicamp.net/profile2.html
浅越ゴエ、博多華丸に加えてコンビ・ユニット結成者が3人も決勝進出。今大会の特徴ですね。


・キャプテン☆ボンバーって誰だ? と思って調べてみました。
なかやまきんに君が演じる別キャラらしいです。レイザーラモンHGと住谷正樹の違いみたいな感じでしょうか。


・中山功太のネタって、お笑いはDVDかテレビにほとんど頼りっきりな九州の辺境在住の出不精にはなかなか見られないんで、今回も楽しみです。



テレビ放送は2月19日、16:05から約一時間半。見逃したら俺、切腹。
八朔です。
先日放送されたセミファイナルは、タイマー録画失敗により未視聴です。


さっそく感想書きます。例によって例の如く書いておきますが、お笑いは星の数ほど趣味嗜好が枝分かれしている上、所詮は素人の感想ですのであんまり本気にしたり反発したりしないように。


・笑い飯
予選は胸ポケットのチャックと靴を隠されるネタ。最終決戦はハッピーバースディ。
笑い飯を「(入り口だけならば)誰にでも分かる漫才」と評する人達は大勢いますが、それはネタの根幹が「Wボケ(+Wツッコミ)」で固定した上で、決勝予選ならばボケの「発展」(ないな〜→チャイナー。そんなに無茶な言葉遊びされたら普通噴きます)、最終決戦ならばボケの「蓄積」(それまでのボケをネタ中に全て肯定していくので、最終的にハッピーバースディの歌がマリリンモンローだらけで大変な事に)といった風に目に見えて分かるテーマが存在しているからなのだろうと思います。で、その大きな標的をガン見しているうちに綺麗に整えられた細部も知らずに目に入っている、と。そりゃ分かりやすい上に凄い。


・アジアン
ブサイク漫才+早口言葉。オーソドックスな漫才のスタイルだと思います。
今大会のテーマとして挙げられやすい「優勝候補不在」「大阪勢の席巻」の言葉どおり、安定して親しみやすい雰囲気を全体から感じ取れていましたが、このコンビは特に顕著でしたね。言葉の取捨選択と関西系女性特有(但ししずちゃんを除く)のイントネーションが見る側を心地よく落ち着かせてくれます。きっと『笑いの金メダル』でも『笑点』でも『爆笑ヒットパレード』でも80点以上の安定した笑いを取れるでしょう。


・南海キャンディーズ
しずちゃんが歌のお姉さんに挑戦するも、艶かしいシャワーシーンで台無し。私は審査員の評価以上に笑いました。
相変わらずしずちゃんの挙動不審さと山ちゃんの書き言葉じみたツッコミが素晴らしかったのですが、ネタ評価後にラサール石井が言っていた「ネタが平行なので盛り上がっていかない点(千鳥がたまにやるコアな漫才にも似たような雰囲気がありますよね)」が会場の笑いにも響き、低調気味となってしまいました。飽きられたから最下位ってのは無いと思うんですが。


・チュートリアル
ボケ側の男前こと徳井がバーベキューの方法を熱心に語ります。肉とピーマンとナスを串に刺す順番とかそんな熱っぽく語られると、もうアレです。超アレです。大好き。
「バーベキュー」という題材も凄いんですが、それの語り方がオタクを思いっきり抽象化したような偏執的かつリアルな奴だった辺りが超自分好みでした。飯盒炊爨のくだりで出てくる「お前、2合でいいところを5号炊きそうや!」みたいな「そこのこだわりの根源はさっぱり理解できないけどそんな奴いそう」的なキャラクターの作り方と細やかさが非常に美しいんです。こういったファナティックさがチュートリアルの特徴だと個人的には思っているのですが。


・ブラックマヨネーズ
予選はボーリング、最終決戦は武芸の習い事について相談。ネタのパターンは決勝予選・最終決戦共に同じ、話が横道に逸れていくパターンでしたが、どちらも面白かったです。
このコンビとPOISON GIRL BANDを見ていると、しゃべくり漫才の変遷が垣間見えて非常に興味深いです。POISON GIRL BANDは物語の進行方向に重きをおいているのに対し、こちらはネタのスピードと間、物語の「発展性」(ネタ終了へ向かうほど、そんな無茶な&それネタ本編と何の関係があるんですか指数が上昇)を重視している点が特徴だと思います。「いっつも行ってる皮膚科の先生に相談するわ」の予選・最終決戦間のインターバルを置いてのてんどんが『M-1グランプリ2005』全体の大オチかと思えるほどウケてたのが印象に残りました。


・品川庄司
刑事が事件に巻き込まれて拳銃で撃たれる芝居をやりたがる庄司と、それを邪魔する品川。
てんどんの使い方と、驚異的な猛スピード。東京系のオーソドックスな漫才では珍しく、このコンビは個々のボケの間隔が異様なほど狭いネタが多いです。そりゃもう全盛期のB&Bかと思えるくらい。
これは単なる我侭ですが、やっぱり漫才に100%のパワーを注げる2001年・2002年頃に『M-1グランプリ』でネタを見たかったです。今回だって決して面白くない訳ではないのですが、昔『オンエアバトル』で見た鬼気迫る漫才が脳裏に焼きつき過ぎているんです。


・タイムマシーン3号
デブの楽園、両国デブニーランド。ここ一番で使う代表作です。
ボケ側のデブ・関の驚異的な肌質の良さ(録画したビデオもう一回見て下さい。アレ筋肉も結構ありますよ。つまり力士と同じ肉質ですよ!)は相変わらずでしたが、ブラックマヨネーズ・品川庄司と続いて奇を衒わない典型的な「漫才」がここまで続いてしまったうえ、上述の二組に比べてしまうとどこかボケ自体の力強さに欠ける感じでした。リーダー渡辺が言っていたデブネタ一本槍だったのも笑いが薄くなった原因でしょうか。吉野家に並んでたらデブに割り込まれる辺りは好きなんですけど。


・麒麟
予選はプロ野球実況、最終決戦はファッションショー。
普段どおり、ボケの選び方と配し方が抜群に上手かったです。予選終了後は驚くほどカッチリ決まった大オチばかり絶賛されていましたが、あそこに到達するまで間の詰め方・延ばし方を巧妙に整えた結果だと思います。プロ野球の応援をスッと悪口合戦にズラし、フリが長めのボケを配置して(バットと思ったらテレビのリモコン)間を限界まで広げ、「バッターの心理描写と心臓の鼓動」で客のテンションを静めた末の唐突なオチ。麒麟ならではの名人芸です。対して最終決戦は一本目のネタを逆再生するような構成だったのにも驚愕。これまでつかみ以下の扱いでしかなかった「麒麟です。」をあそこまでお客さんに見せ付けたのは凄いですね。


・千鳥
幕末の男前(維新志士か新撰組かは不明)とその脇につく馬鹿(維新志士か新撰組かは不明)の会話。こんな不思議な題材で面白いネタを作れるbaseよしもとの異端児、千鳥です。
少なくとも前2大会で見せたネタよりは遥かに伝わりやすく、相応の笑いも取れていたと思います。それでもコンセプトの説明段階(俺が美風でお前が太松な)で笑いを生み出すくだりは唯一無二ですね。少なくとも「俺、学校の教師目指してるんだけど」「じゃあ俺、生徒やるからお前先生な」と格式ばった漫才を行う若手芸人には一生真似できないでしょう。




以下は、全体的な部分で気づいた点。
・小池栄子のアシスタントっぷりが見事。『M-1グランプリ2002』の山寺宏一・中山エミリ以来の芸人邪魔してなさが最高でした。大会概要の説明など目立つ点で噛むミスも無く、細々としたコメントも的確。『2003』での拙い進行とは別人のようです。


・前大会のバラエティ豊かな出演陣・ネタと比較してド直球で多くの人間を楽しませる漫才コンビが多く揃っていましたね。全体評価では『2003』の次に面白い回だったのですが、それぞれのコンビが同様に面白かったので来年以降にどの芸人が売れていくのか想像できません。
案外、タイムマシーン3号がテレビに出倒したりして。





以上、字数制限により強制終了。ああ超笑った。
八朔です(結局M-1敗者復活戦ツアーへは行かない)。


http://www.m-1gp.com/
http://www.asahi.co.jp/m1gp/

遂に決勝進出者が出揃いました。


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笑い飯
アジアン
南海キャンディーズ
チュートリアル
ブラックマヨネーズ
品川庄司
タイムマシーン3号
麒麟

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ネタ順に並べてみました。
トップバッターを引き当てた笑い飯への、決勝戦当日の評価がどうなるか非常に気になります。決して一番手向きのコンビではないはずなので、これまでの大会で千鳥が苦しんできた道程をなぞってしまわないようにテレビの前で祈るのみです。


ブラックマヨネーズの評判は小耳に挟んでいたのですが、それでも決勝進出は意外でした。ここ最近、同コンビの漫才を全くチェックしていないので今から楽しみです。


結成10年目でようやく決勝進出の品川庄司。過去に主だった受賞歴も無い事を初めて知りました。『ボキャ天』ブームと『M-1』ブームのスプリットに挟まれ、公的な評価も受けられずにここまでのし上がって来ただけでも十分凄いんですが、これで久々にテレビで100%の漫才が見られるのも凄い。『爆笑オンエアバトル』第3回チャンピオン大会決勝以上の衝撃を期待しています。


チュートリアルの決勝進出が何よりも嬉しいです。ああ、また泣くほどファナティックなネタ見せてくれないかな、と。


タイムマシーン3号と麒麟。前述の品川庄司と共に安定した実力を持つオーソドックスなコンビが固まっているのが気に掛かりますが、きっと落ち着いて見られるでしょう。これで敗者復活で破天荒なコンビが勝ち上がってくるとまた面白いんですけど。
八朔です。


http://www.knt.co.jp/ksb/m1/













ちょっとまて。冷静になって考えろ。冷静になって考えろ。
八朔です。


『M-1グランプリ2005』のセミファイナリストが出揃ったようです。
http://www.m-1gp.com/

例によって決勝進出者予想。無責任にコンビ名を列挙してみます。


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・笑い飯
・南海キャンディーズ
・麒麟
・POISON GIRL BAND

以上、『M-1グランプリ2004』決勝進出者(但し、麒麟は敗者復活)。
一部(私の親族とか)で「南海キャンディーズはバラエティ出過ぎで飽きられてんじゃねぇの説」が語られていますが、前回のアンタッチャブルのように審査員側の評価にさほど影響は無いと信じてみます。「もう前回ほどの新鮮味は無いしなぁ」と思っている視聴者サイドの度肝を抜いてほしい所です。

実を言うと、この中で最も決勝進出の可能性が高いのはPOISON GIRL BANDだと思っています。
今年の8月に書いた日記と言ってる事が違うような気がしますが、このメンバーでの独創性や笑いを取るアベレージの高さなんかを考えるとそうなりました。
いや、でも今観てる『東京フレンドパーク2』のゲスト、南海キャンディーズを観てると「……そっちもあるか?」とか思ったり。
すいません。もう全然分かりません。


・レギュラー

以前の日記で書いた通りです。
相変わらずテレビでは「あるある探検隊」ばかりが放映されていますが、いや普通の漫才だって面白いんですって本当に!


・U字工事

荒涼と哀愁の栃木弁漫才。
朴訥でスレの無い口調から繰り出される、妙に鋭利なボケが観る者を圧倒します。
主に地元の辺鄙さや関東圏に対する一方的なライバル意識を漫才の主題としているのですが、自転車の二人乗りの話で急にサイドカーと冷凍みかんが出てきたりして驚愕。


・チュートリアル

『M-1グランプリ2001』決勝進出経験もある、関西地方ではすっかり中堅芸人となったコンビ。

実は今回挙げる8組の中で最も好きなコンビだったりします。
「食パンマンと不倫関係にあるドキンちゃん」
「そのドキンちゃんを好きなように扱いながらボロ雑巾のように捨てようとする食パンマン(妻子持ち)」
「身も心もボロボロのドキンちゃんを慰めようとピエロを演じるばいきんまん」
がそれぞれ登場する漫才を観て以来、強烈な発想の偏執っぷりに魅せられてしまいました。

最近観た漫才は、
「『子供はどうして産まれてくるの?』と聞く息子に対して『それはね、コウノトリさんが運んでくるのよ』と母親が話すも、どう見ても息子は本当の答えを知っているようないやらしい表情」
のような内容でした。変態です。


・にのうらご

関西吉本所属の若手が集う『baseよしもと』で活躍する三人組。

三人以上の芸人が漫才を行う場合、それぞれの役割に重点を置かなければいけません。
漫才ではありませんが、例えばロバートの場合は秋山(太ってる人)と馬場(髪染めてる人)ならば秋山:強、馬場:弱、といったふうにボケの強さや声の張りを役割に当てはめています。それを重ねてしまうと、ネタのコントラストが埋もれてしまったり印象が薄くなってしまったりします。

で、にのうらごの場合もその例通り『強』と『弱』に振り分けられているのですが、特筆すべきはその『弱』っぷりです。
荒牧こと『弱』の『弱』らしさが恐ろしく『弱』で、どのくらい『弱』かと言うと、ネタ進行中はたまに無視されるくらい『弱』です。
個々のボケは現在の『M-1』ファイナリストと比較しても遜色ないレベルなだけに、『弱』の希薄な存在感が逆に目を引きます。『弱』が全てを凌駕しにかかります。もう全部『弱』です。『弱』。


以下、残念ながら進出枠の8組から外れたものの最後まで入れようかどうか迷った決勝進出予想コンビ。

・イシバシハザマ
・ザ・プラン9
・サンドウィッチマン
・タイムマシーン3号
・千鳥
・チーモンチョーチュウ


つーか関西と関東の決勝出場コンビ数が一定でない時点で、この予想必ず外れるんですけどね。
ここまで書いて初めて気づきました。


あと、マンションズは2回戦で落ちたらしいです。残念。
八朔です。


http://www.m-1gp.com/
エントリー受付も開始。もうそんな季節か……。


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備忘録がてら、今年の決勝進出者予想でも挙げ連ねてみます。


・これまでの大会で決勝進出を果たしたコンビ全部

特に麒麟と南海キャンディーズ。次点で笑い飯と千鳥とPOISON GIRL BAND。


・レギュラー

今年3月に行われた第35回NHK上方漫才大賞で受賞。当時テレビで観てましたが、見慣れた感のある「あるある探検隊」よりも新鮮味と力がありました。
驚くべきはネタ運びのパワー。客と一体になって楽しもうとする独特のテンションはツボにハマれば今年の優勝最有力候補になりうるかもしれません。


・タイムマシーン3号

デブ漫才の若手有望株。
「動ける肥満児」なる括りは彼ら以外にも過去に存在しましたが、同コンビのボケ担当・関の驚異的な肌質の良さから来る好感触がネタにも影響しています。若手特有のスピード感と適度に刺激的なボケが心地良いです。


・なすなかにし

http://www.shochikugeino.co.jp/profile/owarai/nasu.n.html
正統派漫才を基本とするコンビ。
故に「ネタが古く新鮮味が無い」などと評価される事もありますが、個人的には内容とテンポに古臭さは感じません。強いて言えば声質がベテランの方みたいに聞こえるのですが。むしろ表層的には正統派を踏襲すると見せかけて、その裏に強烈なアナーキズムを感じます。


・マンションズ

http://www.brst.tv/new_prof/81mant.php
普段はコント中心で活動するコンビ。
南海キャンディーズ同様、ボケとツッコミのバランスを随時変化させてお客様に襲い掛かります。こういった斬新さは「M-1」特有の革新性とマッチしていて良いと思うのですが、どうでしょうか。
毎年必ず一組は勝ち上がってくるマイナーコンビ、所謂「麒麟枠」での出場を切に願いたいところです。


・チーモンチョウチュウ

「麒麟枠」切望コンビ第2号。
「〜〜やりたいから、それをちょっとやってみようか」的な、格式張った漫才口調でのネタ運びを嫌っているのか、喋り口調での漫才を信条とします。お陰で聞き易くてしょうがないです。

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ああ、そう言えば鍵師さんを無理やり「M-1」に出場させようとして失敗したのって、確か去年だっけ……。





出たいなぁ……、暇があったら。
八朔です。
永らくの間放置しててごめんなさい。特にロキさんごめんなさい。


http://www.owarai-tower.net/R-1GP/

で、唐突かつ今さらかつ誰も望んでないかもしれない『R-1ぐらんぷり2005』感想。
本当は視聴後すぐここに書きたかったのですが、いろいろ事情がありまして。

『R』は『落語(RAKUGO)』の『R』だとか、『M-1グランプリ』の出場資格がコンビ結成10年以内なのに対しこっちは芸歴不問だとか、いろいろ断片的な情報だけ知りながら観てみましたが、いや面白かったです。
本家(恐らく)の『M-1グランプリ』と比較して審査基準の不透明さや広域過ぎる出場条件などは、コンテストとしての厳密性に欠ける気もしなくは無いですが、まあこっちは一視聴者なんで楽しめりゃ何でもいいです。



出場者紹介。

・長州小力
こういうパブリックな大会で、しかも「最も面白い」を競う場で、「長州力のモノマネ」で「下は海パンかつ太り気味の体型」で「今大会一番手」と様々な悪条件が重なった不憫なインディーズの芸人さんですが、それにしちゃ大健闘だった気がします。結果は最下位でしたけど。
何より、ネタの前半部分が自分が長州力を演じる上での悲喜こもごもを切々と語る内容だったのに大笑いしました。そうか、モノマネ芸人ならそれもアリか。

http://www.showtime.jp/nishiguchi/

ところで同芸人さんが所属するギャグプロレス団体『西口プロレス』って、どんな形で活動されているんでしょうか。
『みちのくプロレス』みたく笑いとプロレスが融合した形態なのか、それとも純然たるお笑い芸人が集っているのか。


・ネゴシックス
後述する中山功太と共に即席コンビ『たばこ』を結成し『M-1グランプリ2004』に出場した事はマニアならば周知の事実ですが、これは別に書いてみたかっただけなんで以下に記す内容とは特に関係ありません。

審査員の大竹まことも触れていた通り、ネゴシックスのネタは一対一対応なんですが、そのわりにネタが単調にならず一つ一つのボケで確実に客を仕留めていける強さが特徴ですね。あと変な島根弁。


・あべこうじ
私が大嫌いな『エンタの神様』が引き起こした数多ある暴挙のうちの一部「あるある芸人の粗製乱造」のせいで、箸にも棒にも引っ掛からないあるある芸人が氾濫するピン芸人業界ですが、その中においてこの人のような正統派漫談師が頑張って下さると心が落ち着きます。

長井秀和やヒロシなどを思い浮かべて下されば分かりやすいかと思いますが、最近流行のピン芸人は一つのボケを独立させて個々の力強さで笑いをさらっていきますが、あべこうじの特徴はネタ自体のテンポが非常に速く連続性の強いものなので、ツボにはまればそのノリを途中で切らずそのまま客を引っ張っていけるのが強みです。いや最近、本当にそういうタイプのピン芸人が少なくなったんです。


・友近
最近、芸風がますますイッセー尾形に似てきました。ネタ自体でなく、その世界が構築されていること自体が面白い、そんな感じです。
間寛平もその世界観を絶賛していましたが、直接笑いに繋がってない以上どう評価すればよいのか。『M-1』の笑い飯と同じく、重要な問題を孕んでいるような気がします。別に私が危惧する必要は全く無いんですが。


・ヒロシ
普段の「ヒロシです…」ではなく、テレビ初披露の「どうすればモテますか?」で勝負。
基本的なスタンスは変わっていません。相変わらず幸薄そうで何よりです。テレビで観る度に「高速道路の高架下で置き去りにされた錆びかけの自転車」とか「押し入れの中を漁っていたら出てきたルービックキューブ」を連想します。

ネタの完成度ではなく、演者としての資質が問われた舞台でした。出だしから立て続けにカミ倒し、お客さんを引き込み損ねたのが最後まで尾を引いていましたね。


・ほっしゃん。
伝説の芸人です(彼女からプレゼントされた手作りのセーターを難民救援のために送ったらテレビで放映されてバレて怒られたとか)。当番組の司会を担当していた雨上がり決死隊とほぼ同期です。
フリートーク系の番組では何度か観た事がある芸人さんだったのですが、ネタは初視聴でした。面白かったです。

ああいった類の言葉遊びでネタを構築する芸人さんはピン・コンビ・グループを問わず多数存在しますが、それ故に芸歴15年のキャリアを感じさせる素晴らしい舞台でした。
最後の逆ギレめいたオチだって、若手じゃ許されない部分もありますし。


・中山功太
料理教室の先生という体でコンロの火力を上下させる際に己の毒舌の度合いも上下させる、という内容のボケで「どーもー、スーパーフリーの和田代表です!」と高らかに宣言しながら火力調節スイッチを「強」に捻っている様子を見て以来、私のツボにハマった大好きな芸人さんです。普通客ヒくだろそれ。

田上よしえばりの言語感覚と波田陽区を20倍くらいに濃くした切れ味鋭い毒舌が持ち味の方ですが、そのバランスがどうもマニアックなせいか客から帰ってくる笑いは常にヤヤウケ程度です。今回もその例に漏れず。残念。


・井上マー
芸人紹介の時点ではダークホース呼ばわりされていたものの、知名度で言えば中山功太や長州小力のほうがダークホースっぽいんですが、どうでしょうか。

普通「死」を連想させるようなキーワードで笑いを作るのは、そのギャップを利用できる反面でネタの構成にしくじるとお客さんが冷めてしまう側面もある(但し漫才の定番ネタ「葬式」のような、人々の生活に密着した「死」はその限りでない場合が多い)ので、この芸人さんのように尾崎豊を演じながら笑いを取るという所業は諸刃の剣だと思うんですが、そのわりに今までネタがスベったところを見た事が無いです。凄いです。



その他。

・石川亜沙美が綺麗なのは分かりました。ただ、それ本当に視聴率とか番組の内容向上とかに繋がってるのでしょうか。
記号的に「きれいどころ」を用意したいのであれば、そりゃもう関西テレビの女子アナでいいじゃんって気がします。

・この番組の性質上、どうしても『M-1グランプリ』との相違点を見てしまうのですが、やはり小道具や音楽を使っての演目が可能なのは華やかでいいなぁと思いました。
漫才にもアンタッチャブルがエアロスミスの曲を使うネタや品川庄司が『ラブストーリーは突然に』を舞台の途中に挿入するネタがあるので。





……お笑いについて書いたときだけ、投稿制限字数ギリギリになるな。
八朔です。


2001年に発表された、映像デザイン集団「teevee graphics」の作品集「VIDEO VICTIM」。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/B00005NS2N/customer-reviews/249-8024929-3582769

その中に収録されている、ラーメンズとの共同制作コント「the japanese tradition -dogeza-」と「new world calendar」がweb上で公開されています。



http://santafe-shockwave.com/

「the japanese tradition -dogeza-」。
正しい土下座の作法を事細かに教えてくれます。2月6日まで公開。



http://jp.shockwave.com/shortfilms/shortfilms.html

「new world calendar」。
これが新しいカレンダーです。公開終了日は不明。
八朔です。


一応断っておきますけど、私は『M-1グランプリ』というコンテストをこの上なく信用していますし、そこの決勝に伸し上がってきた8組+1組のコンビは間違いなく最強の漫才芸人だと信じています。

その前提を踏まえて、以下の雑感を読んでいただければ幸いです。
こっちが褒めてても「貶してる」って感じる人が多いらしいので。全ての人が同じ心の持ち主だなんて思ってないし。笑いと政治と宗教と野球は誤解を招きやすい話題。

例年通り、公式BBSも鬼のように荒れてるし。



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・千鳥:
「ダウンタウンを観て育った世代は、先年の芸人が培ってきた技術を一旦破棄する傾向がある」という話を聞いたことがあります。
千鳥と東京ダイナマイトは、今回のM-1決勝の中でそういったタイプの「欠落」を最も感じたコンビでした。

ラサール石井が言っていた「中盤から終盤にかけてのもうひと伸び」をやらない事で、見る側をヌルい気分に陥れて漫才の作家性を高めた、とでも言えばいいんでしょうか。
もはや漫才の常套手段が観客からも容易に理解できる現在だからこそ、その辺を上手くハズして虚を突きそれを笑いに転化する、という手段が有効になるんですね。


・タカアンドトシ:
これ以上ない正統派。
上手、って言う以外の褒め言葉が思い浮かびません。ごめんなさい。


・東京ダイナマイト:
私事で申し訳ないんですが、このコンビのボケ役・松田大輔がピン芸人だった頃オンエアバトルに出演し、「エアウォーカー漫談」という有り得ないジャンルでラーメンズのオンエア権をボール3個差で奪取した過去は、ラーメンズファンの私にとって忌まわしい記憶として脳裏にこびりついています。

いや、大好きですけど。


・トータルテンボス:
何が半端ねぇって言語感覚が半端ねぇ。
間の取り方・ネタの進行方向よりも、言葉自体の面白さの比重が他のコンビより大きかったような気がします。

トータルテンボスのキャッチフレーズである「渋谷系漫才」、実は本人たち発信で使われているらしいんですが、このコンビを指して「渋谷系」とか言うと、常に歪曲している「渋谷系」の言霊が更に歪曲してくんで大変だと思います。別にいいですけど。


・南海キャンディーズ:
ね!だから最終決戦進出するって言ったでしょ!ね!?(それは誰に向けたしたり顔なんだ)

本来ならばボケを補佐する役のツッコミの領域を逆にボケと転換し(例えば、ツッコミを意外性のある言葉にするとか)、それでネタを作っていくパターンは俗に”ふくらまし”と呼ばれ(出典:エンターブレインムック『人力舎パワー』)、他のコンビではキングオブコメディなどが使用している芸風です。

素晴らしいのは、両者のコントラスト。
マイペースで腹の立つ女が「火を怖がるサイ」を唐突に演じながら、その横で本流の医者コントを続けつつ応答が無いと半ば諦めつつもサイ女にメスを要求する、その寂しげな顔と声。
最高。


・POISON GIRL BAND:
今回、恐らく千鳥の次に順番決めの被害を被ったコンビ。実は一つのボケから世界を膨らませる者同士、南海キャンディーズとこのコンビは多くの共通項で括られているんですね。多分

このコンビは、見る側に想像させます。きっと今回の漫才を見ていた人たちは皆一様に同じイメージを想起していたはずです。
全員が「中日帽子取りゲーム」を脳内でシミュレートし、落合・立浪・川上憲伸をスペシャルカードとして定義していたはずです。
更に言えば、何故かそこに紛れ込んでいた西武の旧選手会長・和田の帽子を取ってしまうと、何らかの大きなペナルティを科せられると考えていたはずです(フランシスコ・ザビ散らかしてるから)。

講談師のように切々と状況説明を行うため、今、そこで話している、という事が非常に重要であり、敢えて言うならばアンタッチャブルの次にライブ感を重要視していたコンビだと言えるでしょう。


・笑い飯:
テクニックだけで言えば間違いなく、今年が過去最高だったはずです。
素人目に見て上手くなったのが分かるってのも凄いですが。

じゃあ何が足りなかったのか?
そりゃ勿論、奈良県立民俗博物館の人形です。


さっき見つけてビックリしたページ。
http://www.pref.nara.jp/bunkak/minpaku/hakubutu/

書くな書くな。


・アンタッチャブル:
「勢いだけで中身が無い」とか言ってる父親に説教しました。
あなたは約10年前『東京Aランチ』に彼らが出演したときに見せた、デビュー当時の凄ぇ完成度の高い漫才を知ってるのかと。
それをM-1グランプリ2003の最終決戦で再び目の当たりにした私の感動をあなたと共有できるのかと。


・麒麟
M-1の中で最も象徴的な存在だと思います。
過去の実績に全く関係なく漫才の面白さだけで判定されるという、絵空事めいたスローガンに信憑性を感じるのは、このコンビが正しく判定されているからだと。



その他。


・井上和香がカミ倒してました。

非常にストイックな番組構成の中で、唯一「テレビ」であるための記号として居る人なのは分かりますが、その女子アシスタント主導で芸人名コールが行われるのはどうかと思いました。
でも、南海キャンディーズのネタでカメラが向いたとき、そのネタに応じて表情を作ったのはナイス。


・毎回、番組終了後はネットで鬼のように叩かれる審査員ですが、誰だってあんな厳しい場所にいたかないよな、と。順番なんて絶対に付けられないモノに数値で評価しようとしてる訳ですし。
立川談志、松本人志、島田紳助と審査員側を神格的な立場に置ける人達が次々と抜けていくのが、視聴者として本当に残念です。
代役はオール巨人を呼べオール巨人を!!(勝手な妄言)

でも、漫才経験者でしかも未だに第一線で仕事している人達をあれだけの数、審査員として並べているのは本当に凄いと思います。ヨソの新人演芸大賞とか、笑いに1ミリも関係ない人がそこに座ってたりするし。


・何故ネタ順抽選に吉田沙保里が呼ばれたのか、一瞬だけ悩みました。
恐らく「公正を期して」って事なんだと思いますが、それは分かったからフットボールアワーを呼べフットを!!(実直な意見)


・こんなダラダラした感想を長々と書いてても所詮素人の戯言であり、だからこそM-1にアマチュア参加したかったんですけど、相方居ないしなぁ。

あー出場してぇ。2005。
友達から伝え聞いたのだが、なんか最近ギター侍とかいう芸人が流行ってるらしい。テレビとか全然見ないのでどういうネタやってるのかわからないのだが、


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「○×△」って言うじゃな〜い(オカマっぽく)

「(↑の○×△を基に毒舌を吐く)」

「残念!」とか「○×斬り!」
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というのが基本的な流れらしい。
うん、文字だけじゃ面白さがよくわからんな。

ほんとにこれが面白いのかは知らんが、このギター侍の名前を友達から聞いて耳を疑った。


ハタ ウヨクというらしい。
なにやら一気にきな臭くなってきた。
ていうか、そんな芸名でよくテレビ局が出してくれたな。テレビで動く姿を見たことは無いが芸名からしてどういうネタをやってるかなんとなく理解できた。

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南京攻略戦で民間人100人斬った」って言うじゃな〜い?

アンタ、ラストサムライでもあるまいし…
日本刀じゃ100人も斬れませんから!


残念!!

“100人斬り”斬り!!!
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すげえ、ハタウヨク!いつもこんな事やってんのかな!
オレたちがやれない事を平然とやってのける、そこにシビれるあこがれるゥ!!!


いや〜、それにしてもこんなギター持った右翼が出てきたんなら鳥肌実もさぞ大変だろうなぁ。
鍵師です。

海に行ってきた。
いやー、海はいいね!久しぶりにあんなにたくさん塩分を取らせていただきました!

「海に塩入れてる人ー!塩分の量、間違ってますよー!」

とか電波っぽい事を叫んでしまいそうなくらい塩水を飲んだ。
いや、実際叫んだけど。
こんなにも塩分を吸収したのは、以前の飲み会で調子にのって醤油を飲んだとき以来である。ちなみにそのときは寒くも無いのに、震えがとまらなくなり、非常に危険な状態になりました。
うふふ・・・三途の川って冷たーい♪

で、話を戻して、友達9人と近くの海にくりだしたわけだが、この海が非常に汚い。
噂でもっと綺麗な海だと聞いていたので最初はがっかりしていたのだが、後々の大イベントに、この汚さが非常に役に立つことになった。
では、その(俺的に)大イベントについて語っていきたい。

まず海に来てから二時間くらいは普通の遊びをして費やした。

(普通の遊びの例)

A「二人で来る海、これで最後だね」
B「・・・え?」
A「離婚するんだ☆」
二人『あいた〜い〜♪今君に〜♪』

雑誌「メロン」のCMより抜粋でございます。
っていうか、どこが普通の遊びやねん。

そんなこんなで二時間が過ぎ、海に入ってるのは俺と友人Tの二人だけになってしまった。
他の人はどうやら木陰で休憩中。

俺「あらかた遊びつくしたな〜」
T「・・・・・・」
俺「どーした?」
T「今、俺は自然に還っているから気にするな」
俺「???」
T「よし、完了」
俺「あー!!さてはてめぇ、失禁しやがったな!?」
T「うん」
俺「マジで!?」
T「いや、これくらい普通だって」

そんな普通、あってたまるか。

俺「すげぇな。漫画とかでよく見るけど、本当にしたやつ初めて見た」
T「そうか?他のやつも結構やってるぞ」
俺「そうなんだ・・・なんかそれを聞くと、海で失禁したことの無い俺が、とっても損してる気がしてきた!しかも急に尿意がッ!」
T「おう!やっちまえやっちまえ!」

はい、この時点でそうとう壊れています。
だが一度盛り上がったテンションはさらに上がり続ける。

俺「よっしゃ!じゃあ俺から離れてなッ!人気の無いところでやるのが、本当の紳士ってもんだぜ」

本当の紳士は、海の中で失禁しません。

俺「・・・・・」
T「どうよ?」
俺「・・・ん〜。なんだかな。やっぱできない。どうやんの?」
T「気合」
俺「世界一役に立たないアドバイス、どうもありがとう」

失禁しようという気はあるのだが、どうにも体が反応してくれない。別に緊張しているとかそういうわけではないのだが・・・
アドバイス通り、もうちょっと気合いれてみようか?

そして数十秒後。

俺「お!?おー!うははー!出てるぞー!」

ゲラゲラと爆笑しながら海の中で失禁する23歳。

普通に考えたら精神病院行きだぞ、おまえ。

なんというか、ぶっちゃけかなり不思議な感触であった。
男ならわかると思うが、普通は尿が出たときそれなりの手ごたえがある。だが、海の中ではそれが無いのだ。
出た瞬間に消えていく感じ。
しかも周りの海の水もあまり綺麗ではないので、色が変わることもナッシング!
汚い海、最高ー!

お前は最低だけどな。

T「どうだった?」
俺「すげぇ!この年齢でまだ初体験があるとは思わなかった!」
T「そんなに感動することでもないと思うけど・・・」
俺「なんつーか、天然の水洗トイレってとこだな」
T「絶対違う」

そんなこんなで盛り上がっていると、50m先くらいにビキニのねぇちゃん五人組が浮き輪で浮いているのが見えた。

T「あー、すげぇな」
俺「そうだな〜。よし、じゃあアレやるか!」
T「アレ?って何?」
俺「題して・・・

全裸でサブマリンチキンレース!」

T「うおぉぉぉぉ!」
俺「ルールは簡単。海の中で海パンを脱いで、全裸のまま、どこまであのおねえちゃんに近づけるか、という勝負だ!」
T「くだらねー!」
俺「うっさい!じゃあ行くぜ!」

いそいそと海中で海パンを脱ぎ始める俺たち。
そして海パンを手に取ると、おもむろに女の子五人組に向かって泳ぎ始める!

光る波しぶき。
まばゆい太陽。
そしてポッカリと浮かぶ白いケツ。

俺「ちょっと待ったーッ!」
T「何?」
俺「いや、ケツが浮いて見えてるし」
T「うわー!気づかなかったー!」
俺「泳いだら確実に警察に捕まるな。歩いていくべ」
T「だな」

全裸のままザブザブと進行する兵士二名。
いや、これでも十分警察には捕まるとおもうが・・・

けっきょく二人とも10mくらい手前でギブアップしました。

俺「良い勝負だったな」
T「あぁ」
俺「じゃあ今回の勝負の健闘をたたえて、ユニフォーム交換だ」
T「OK!」

二人は手にした海パンを交換して、お互いの海パンをはいたのでした。

なんと感動的なスポーツマンシップ!
なんと素晴らしい友情!
なんと変態的な光景!

これこそが青春なのだと思った、夏の日だった。

綺麗にまとめてみましたが、だめですか?
はい、すみません。
八朔です。

 
・M−1グランプリの出囃子に使われてる曲

ファットボーイスリム「because we can」
(映画『ムーラン・ルージュ』サントラ収録)

Amazonの情報はこちら。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005LPAC/249-0076236-9772333

 
備考:
福岡ダイエーホークスのハニーズが踊るときも使われてる。

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