『R-1ぐらんぷり2006』感想(かなり遅め)
2006年2月22日 お笑い博多華丸に最敬礼!!
八朔(福岡生まれ・福岡在住)です。
昨日、全国ネットで放送されたピン芸人の闘技場『R-1ぐらんぷり2006』。
今回はタイマー録画に成功しましたので感想を書きます。
・友近「新体操部」
ネタの内容よりも「野球部のOBが高校の部活動に顔出してフリーバッティングに来たようなウザさと技術の確かさ」というダンカンの的確すぎる例えと、ネタが始まる前に弟が言った「悪ぃけどコレ、友近がレオタード姿で出てきたら早送りするよ」という発言ばかり印象に残ってます。なんか以前見てえらくムカついたネタなんですって弟。
まあ人物描写の素晴らしさやら純粋な演技力だけならば評価されてしかるべきな方なのですが、前回のウインナー試食おばさんよりは笑いどころを大幅に増やしたとはいえ賞レース好みの訴求力は無いように思えます。
ここまで来りゃもう素直に中森明菜のモノマネでいいんじゃないかって気もしますが。
『R-1ぐらんぷり』全大会に出場している友近ですが、『M-12005→2006』の南海キャンディーズのように、演者への期待値が高騰した結果それに応えられず評価が下がり、『2001→2002→2003』のフットボールアワーのようにきっちり応えた場合は優勝へのチャンスが生まれる、という指数関数的な図式から考えた場合、友近がフットのようになれる可能性というか方法は、もはや皆無に等しいのではないか、と思います。
・バカリズム「トツギーノ」
もう超好き。文句なしに好き。というか演出手段が特異すぎて迂闊に否定できる要素が少なすぎ。
友近と同じく賞レース向けではない方なのですが、その分お笑いファンは穴埋めできる程度に評価するべきだと思います。いや4分でここまで純度の高いネタを演じきれるなんて本当に凄い。
ネタの基本は、物語のようなものを途中まで見せて「トツギーノ」の言葉と文金高島田で粉砕する、芸人用語で言うところの「すかし」と、それを繰り返す「てんどん」。で、ネタが展開するごとに「トツギーノ」の幅が広がったり狭まったり、物語自体に笑う箇所が生まれたりとリズムを乱すポイントを作り、最後はさだまさしとジョルジーニョに文金高島田を乗っけて大オチへ展開。
いや、笑いを生み出すために用いられた技術は古典的なものが多いのですが、それを分解・再構築する構成力が見事で、全く無駄な箇所がありません。驚異的な圧縮力です。
・中山功太「DJモンブラン」
面白いです。本当に面白いです。ですが、なぜか評価されません。
『OLあるある』としてひと括りにするには勿体無いほど考え抜かれたシチュエーションとフレーズ。「DJ」という架空のツッコミとその演出。半端に似合う女装。どこから見ても素晴らしいネタだと思います。個人的にも大好きです。あまりにも好きすぎて「この方のどこが否定されているのか」なんて見当もつきませんが、もしかすると、と思い当たる点を一点だけ挙げてみます。
中山功太特有のアナーキーな雰囲気は「DJモンブラン」に限らずどのネタにも存在し(むしろこのシリーズはそれが薄いほう)、せっかくの若年層向けなネタの匂いをそれで遠ざけている感じはしなくもありません。古谷実の漫画を髣髴とさせる鋭角的な人物描写のイタさは、そのデフォルメを許さない姿勢からこそ生まれるのですが、硬派すぎるのも「分かりやすさに欠ける」として低評価に繋がるのかもしれません。私は中山功太がそんな方向へ譲歩する姿なんて絶対見たくないですが。
・キャプテン☆ボンバー 「アメリカの文化」
……うん。巷で吉本枠とか政治的権力とか言われてますが、その批判(なかやまきんに君とのダブルエントリー問題も含む)もやむなしといったネタだったと思います。明らかに他のメンツよりレベルが下でした。
勢いだけのわりにフレーズは練り込まれておらず、本来のせていかなければならない客のテンションも重めで、一部ではちょっとヒいてる観客の声も聞こえました。特効のクラッカーも空しく飛び散りましたし。
私は東京・大阪の準決勝を全く見ていないのですが、観客だった方のレポートを読む限りでは他に良い芸人さんがいたのではないでしょうか。日曜4時という時間帯から、番組を彩る広告塔は友近と共に必要なのかもしれませんが、本当にこの『R-1ぐらんぷり』を『M-1』のように芸人や視聴者にとって意義あるものにしようと考えた場合、こういったバラエティ色は不必要なのでは、と思います。
・あべこうじ 「ソーセージ」
実力派。前回も実力派、今回も実力派でした。
前回のように表情やわざと台詞を詰まらせることで観客の呼吸を掴む演芸的技術が今回無かったのは残念でしたが、その代わりに台本レベルでの完成度が恐ろしく高かったです。
「ソーセージ」の話、「バイク」の話、「三味線」の話をそれぞれ並べ、ときおり時系列をズラしながら展開していく技術に感服しました。素晴らしいです。三味線→シャウエッセンのような言葉遊びからリンクさせたり、それ以下の思い付きから話が飛ぶ辺りの自然さ或いは投げっぱなしさも好感触。全然落ちてこない話のテンションもカッチリやりきった大オチも見事。来年こそ優勝してほしいです。
・浅越ゴエ 「しっくりこないニュース」
ものすごい安定感でした。
2年前の優勝時よりも更にブラッシュアップされた構成にまずは感動。臨時ニュースのくだりはもっとウケるはずだったのだろうと推測できますが、あの重い空気の中であれだけ笑わせられれば充分だと思います。それゆえに磐石さがネタの振り幅を狭めたのか、どうも次の展開を楽しむ雰囲気に欠けた印象もあります。
・岸学 「教師へのイジメ」
どきどきキャンプのネタは過去に2本見たことがあるのですが、岸さんの表情ってどれも凄いですね。人を惹きつける挙動不審さに満ち溢れてます。揺れ動く目、薄ら笑い。もしかしたら単に緊張していただけなのかもしれませんが(笑)、とにかくあの芸人気質は凄まじいと思います。
ネタも各フレーズの多くがヒット性。「バイクに凄い改造をしたのは誰だ!」は強い。ここからもう少し、岸さんのキャラクターショーというか、不憫さがありありと見えるような描写を強くしていけばもう少し点数は伸びたかもしれません。
とりあえず、今の挙動不審なキャラクターを全国ネットで大っぴらに映せた今回の出演は大成功だと思います。今後はコンビで頑張ってください。
・博多華丸 「児玉清研究発表」
おめでとうございます!「ピィース!」の博多華丸特集、感動しました!ああ福岡県民で良かった。
太平サブロー師匠のコメントとは裏腹に、さ行は「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」からの流用なのも影響したのか若干スベり気味でしたが「アタックNo.1」が見事にクリーンヒット。大爆笑でした。あまりにも完璧にハマって驚きました。
上述の特集で「エントリーのきっかけは相方の博多大吉とマネージャーが共謀して」「ネタの台本は大吉が大いに協力」の事実を知り感動しましたが、最も驚愕だったのは「準決勝で使う「アタックNo.1」の台詞を大阪のビジネスホテルで考える様子」の映像でした。アレ何日も前から用意してたんじゃないんですか!?
以上。超笑いました。
八朔(福岡生まれ・福岡在住)です。
昨日、全国ネットで放送されたピン芸人の闘技場『R-1ぐらんぷり2006』。
今回はタイマー録画に成功しましたので感想を書きます。
・友近「新体操部」
ネタの内容よりも「野球部のOBが高校の部活動に顔出してフリーバッティングに来たようなウザさと技術の確かさ」というダンカンの的確すぎる例えと、ネタが始まる前に弟が言った「悪ぃけどコレ、友近がレオタード姿で出てきたら早送りするよ」という発言ばかり印象に残ってます。なんか以前見てえらくムカついたネタなんですって弟。
まあ人物描写の素晴らしさやら純粋な演技力だけならば評価されてしかるべきな方なのですが、前回のウインナー試食おばさんよりは笑いどころを大幅に増やしたとはいえ賞レース好みの訴求力は無いように思えます。
ここまで来りゃもう素直に中森明菜のモノマネでいいんじゃないかって気もしますが。
『R-1ぐらんぷり』全大会に出場している友近ですが、『M-12005→2006』の南海キャンディーズのように、演者への期待値が高騰した結果それに応えられず評価が下がり、『2001→2002→2003』のフットボールアワーのようにきっちり応えた場合は優勝へのチャンスが生まれる、という指数関数的な図式から考えた場合、友近がフットのようになれる可能性というか方法は、もはや皆無に等しいのではないか、と思います。
・バカリズム「トツギーノ」
もう超好き。文句なしに好き。というか演出手段が特異すぎて迂闊に否定できる要素が少なすぎ。
友近と同じく賞レース向けではない方なのですが、その分お笑いファンは穴埋めできる程度に評価するべきだと思います。いや4分でここまで純度の高いネタを演じきれるなんて本当に凄い。
ネタの基本は、物語のようなものを途中まで見せて「トツギーノ」の言葉と文金高島田で粉砕する、芸人用語で言うところの「すかし」と、それを繰り返す「てんどん」。で、ネタが展開するごとに「トツギーノ」の幅が広がったり狭まったり、物語自体に笑う箇所が生まれたりとリズムを乱すポイントを作り、最後はさだまさしとジョルジーニョに文金高島田を乗っけて大オチへ展開。
いや、笑いを生み出すために用いられた技術は古典的なものが多いのですが、それを分解・再構築する構成力が見事で、全く無駄な箇所がありません。驚異的な圧縮力です。
・中山功太「DJモンブラン」
面白いです。本当に面白いです。ですが、なぜか評価されません。
『OLあるある』としてひと括りにするには勿体無いほど考え抜かれたシチュエーションとフレーズ。「DJ」という架空のツッコミとその演出。半端に似合う女装。どこから見ても素晴らしいネタだと思います。個人的にも大好きです。あまりにも好きすぎて「この方のどこが否定されているのか」なんて見当もつきませんが、もしかすると、と思い当たる点を一点だけ挙げてみます。
中山功太特有のアナーキーな雰囲気は「DJモンブラン」に限らずどのネタにも存在し(むしろこのシリーズはそれが薄いほう)、せっかくの若年層向けなネタの匂いをそれで遠ざけている感じはしなくもありません。古谷実の漫画を髣髴とさせる鋭角的な人物描写のイタさは、そのデフォルメを許さない姿勢からこそ生まれるのですが、硬派すぎるのも「分かりやすさに欠ける」として低評価に繋がるのかもしれません。私は中山功太がそんな方向へ譲歩する姿なんて絶対見たくないですが。
・キャプテン☆ボンバー 「アメリカの文化」
……うん。巷で吉本枠とか政治的権力とか言われてますが、その批判(なかやまきんに君とのダブルエントリー問題も含む)もやむなしといったネタだったと思います。明らかに他のメンツよりレベルが下でした。
勢いだけのわりにフレーズは練り込まれておらず、本来のせていかなければならない客のテンションも重めで、一部ではちょっとヒいてる観客の声も聞こえました。特効のクラッカーも空しく飛び散りましたし。
私は東京・大阪の準決勝を全く見ていないのですが、観客だった方のレポートを読む限りでは他に良い芸人さんがいたのではないでしょうか。日曜4時という時間帯から、番組を彩る広告塔は友近と共に必要なのかもしれませんが、本当にこの『R-1ぐらんぷり』を『M-1』のように芸人や視聴者にとって意義あるものにしようと考えた場合、こういったバラエティ色は不必要なのでは、と思います。
・あべこうじ 「ソーセージ」
実力派。前回も実力派、今回も実力派でした。
前回のように表情やわざと台詞を詰まらせることで観客の呼吸を掴む演芸的技術が今回無かったのは残念でしたが、その代わりに台本レベルでの完成度が恐ろしく高かったです。
「ソーセージ」の話、「バイク」の話、「三味線」の話をそれぞれ並べ、ときおり時系列をズラしながら展開していく技術に感服しました。素晴らしいです。三味線→シャウエッセンのような言葉遊びからリンクさせたり、それ以下の思い付きから話が飛ぶ辺りの自然さ或いは投げっぱなしさも好感触。全然落ちてこない話のテンションもカッチリやりきった大オチも見事。来年こそ優勝してほしいです。
・浅越ゴエ 「しっくりこないニュース」
ものすごい安定感でした。
2年前の優勝時よりも更にブラッシュアップされた構成にまずは感動。臨時ニュースのくだりはもっとウケるはずだったのだろうと推測できますが、あの重い空気の中であれだけ笑わせられれば充分だと思います。それゆえに磐石さがネタの振り幅を狭めたのか、どうも次の展開を楽しむ雰囲気に欠けた印象もあります。
・岸学 「教師へのイジメ」
どきどきキャンプのネタは過去に2本見たことがあるのですが、岸さんの表情ってどれも凄いですね。人を惹きつける挙動不審さに満ち溢れてます。揺れ動く目、薄ら笑い。もしかしたら単に緊張していただけなのかもしれませんが(笑)、とにかくあの芸人気質は凄まじいと思います。
ネタも各フレーズの多くがヒット性。「バイクに凄い改造をしたのは誰だ!」は強い。ここからもう少し、岸さんのキャラクターショーというか、不憫さがありありと見えるような描写を強くしていけばもう少し点数は伸びたかもしれません。
とりあえず、今の挙動不審なキャラクターを全国ネットで大っぴらに映せた今回の出演は大成功だと思います。今後はコンビで頑張ってください。
・博多華丸 「児玉清研究発表」
おめでとうございます!「ピィース!」の博多華丸特集、感動しました!ああ福岡県民で良かった。
太平サブロー師匠のコメントとは裏腹に、さ行は「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」からの流用なのも影響したのか若干スベり気味でしたが「アタックNo.1」が見事にクリーンヒット。大爆笑でした。あまりにも完璧にハマって驚きました。
上述の特集で「エントリーのきっかけは相方の博多大吉とマネージャーが共謀して」「ネタの台本は大吉が大いに協力」の事実を知り感動しましたが、最も驚愕だったのは「準決勝で使う「アタックNo.1」の台詞を大阪のビジネスホテルで考える様子」の映像でした。アレ何日も前から用意してたんじゃないんですか!?
以上。超笑いました。
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