八朔です。
永らくの間放置しててごめんなさい。特にロキさんごめんなさい。


http://www.owarai-tower.net/R-1GP/

で、唐突かつ今さらかつ誰も望んでないかもしれない『R-1ぐらんぷり2005』感想。
本当は視聴後すぐここに書きたかったのですが、いろいろ事情がありまして。

『R』は『落語(RAKUGO)』の『R』だとか、『M-1グランプリ』の出場資格がコンビ結成10年以内なのに対しこっちは芸歴不問だとか、いろいろ断片的な情報だけ知りながら観てみましたが、いや面白かったです。
本家(恐らく)の『M-1グランプリ』と比較して審査基準の不透明さや広域過ぎる出場条件などは、コンテストとしての厳密性に欠ける気もしなくは無いですが、まあこっちは一視聴者なんで楽しめりゃ何でもいいです。



出場者紹介。

・長州小力
こういうパブリックな大会で、しかも「最も面白い」を競う場で、「長州力のモノマネ」で「下は海パンかつ太り気味の体型」で「今大会一番手」と様々な悪条件が重なった不憫なインディーズの芸人さんですが、それにしちゃ大健闘だった気がします。結果は最下位でしたけど。
何より、ネタの前半部分が自分が長州力を演じる上での悲喜こもごもを切々と語る内容だったのに大笑いしました。そうか、モノマネ芸人ならそれもアリか。

http://www.showtime.jp/nishiguchi/

ところで同芸人さんが所属するギャグプロレス団体『西口プロレス』って、どんな形で活動されているんでしょうか。
『みちのくプロレス』みたく笑いとプロレスが融合した形態なのか、それとも純然たるお笑い芸人が集っているのか。


・ネゴシックス
後述する中山功太と共に即席コンビ『たばこ』を結成し『M-1グランプリ2004』に出場した事はマニアならば周知の事実ですが、これは別に書いてみたかっただけなんで以下に記す内容とは特に関係ありません。

審査員の大竹まことも触れていた通り、ネゴシックスのネタは一対一対応なんですが、そのわりにネタが単調にならず一つ一つのボケで確実に客を仕留めていける強さが特徴ですね。あと変な島根弁。


・あべこうじ
私が大嫌いな『エンタの神様』が引き起こした数多ある暴挙のうちの一部「あるある芸人の粗製乱造」のせいで、箸にも棒にも引っ掛からないあるある芸人が氾濫するピン芸人業界ですが、その中においてこの人のような正統派漫談師が頑張って下さると心が落ち着きます。

長井秀和やヒロシなどを思い浮かべて下されば分かりやすいかと思いますが、最近流行のピン芸人は一つのボケを独立させて個々の力強さで笑いをさらっていきますが、あべこうじの特徴はネタ自体のテンポが非常に速く連続性の強いものなので、ツボにはまればそのノリを途中で切らずそのまま客を引っ張っていけるのが強みです。いや最近、本当にそういうタイプのピン芸人が少なくなったんです。


・友近
最近、芸風がますますイッセー尾形に似てきました。ネタ自体でなく、その世界が構築されていること自体が面白い、そんな感じです。
間寛平もその世界観を絶賛していましたが、直接笑いに繋がってない以上どう評価すればよいのか。『M-1』の笑い飯と同じく、重要な問題を孕んでいるような気がします。別に私が危惧する必要は全く無いんですが。


・ヒロシ
普段の「ヒロシです…」ではなく、テレビ初披露の「どうすればモテますか?」で勝負。
基本的なスタンスは変わっていません。相変わらず幸薄そうで何よりです。テレビで観る度に「高速道路の高架下で置き去りにされた錆びかけの自転車」とか「押し入れの中を漁っていたら出てきたルービックキューブ」を連想します。

ネタの完成度ではなく、演者としての資質が問われた舞台でした。出だしから立て続けにカミ倒し、お客さんを引き込み損ねたのが最後まで尾を引いていましたね。


・ほっしゃん。
伝説の芸人です(彼女からプレゼントされた手作りのセーターを難民救援のために送ったらテレビで放映されてバレて怒られたとか)。当番組の司会を担当していた雨上がり決死隊とほぼ同期です。
フリートーク系の番組では何度か観た事がある芸人さんだったのですが、ネタは初視聴でした。面白かったです。

ああいった類の言葉遊びでネタを構築する芸人さんはピン・コンビ・グループを問わず多数存在しますが、それ故に芸歴15年のキャリアを感じさせる素晴らしい舞台でした。
最後の逆ギレめいたオチだって、若手じゃ許されない部分もありますし。


・中山功太
料理教室の先生という体でコンロの火力を上下させる際に己の毒舌の度合いも上下させる、という内容のボケで「どーもー、スーパーフリーの和田代表です!」と高らかに宣言しながら火力調節スイッチを「強」に捻っている様子を見て以来、私のツボにハマった大好きな芸人さんです。普通客ヒくだろそれ。

田上よしえばりの言語感覚と波田陽区を20倍くらいに濃くした切れ味鋭い毒舌が持ち味の方ですが、そのバランスがどうもマニアックなせいか客から帰ってくる笑いは常にヤヤウケ程度です。今回もその例に漏れず。残念。


・井上マー
芸人紹介の時点ではダークホース呼ばわりされていたものの、知名度で言えば中山功太や長州小力のほうがダークホースっぽいんですが、どうでしょうか。

普通「死」を連想させるようなキーワードで笑いを作るのは、そのギャップを利用できる反面でネタの構成にしくじるとお客さんが冷めてしまう側面もある(但し漫才の定番ネタ「葬式」のような、人々の生活に密着した「死」はその限りでない場合が多い)ので、この芸人さんのように尾崎豊を演じながら笑いを取るという所業は諸刃の剣だと思うんですが、そのわりに今までネタがスベったところを見た事が無いです。凄いです。



その他。

・石川亜沙美が綺麗なのは分かりました。ただ、それ本当に視聴率とか番組の内容向上とかに繋がってるのでしょうか。
記号的に「きれいどころ」を用意したいのであれば、そりゃもう関西テレビの女子アナでいいじゃんって気がします。

・この番組の性質上、どうしても『M-1グランプリ』との相違点を見てしまうのですが、やはり小道具や音楽を使っての演目が可能なのは華やかでいいなぁと思いました。
漫才にもアンタッチャブルがエアロスミスの曲を使うネタや品川庄司が『ラブストーリーは突然に』を舞台の途中に挿入するネタがあるので。





……お笑いについて書いたときだけ、投稿制限字数ギリギリになるな。

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