その日、彼は決断を迫られていた。
新宿・靖国通り沿いにあるドンキホーテで、彼は血眼になって獲物を品定めしていた。
ターゲットは、コスプレ衣装である。
なぜそんなことをしているのか。
だが、そこに至る経緯を述べることには、意味が無い。
今、彼を突き動かしているのは、たった一つの確定的な、
「何か衣装を買ってくれたら着ちゃいますよ♪」
という女の子との約束なのだ。
----------------------------------------------------------
というわけですごくややこしいので事の経緯は省きますが、
衣装を買おうとしているのは僕ではなく友人のナカムラくんです。
僕はナカムラくんの買い物の一部始終を眺めてただけ。←ここ重要!
さて、何の縁かは知らないですけど、
ある日、ナカムラくんに彼女でも何でもない子に着せさせる機会が訪れました。
なんでかよくわかんないですが、とにかくそうなったらしいです。
ただ、彼にとっておいしくないのは、
条件として「衣装は相手に贈呈」・「見るだけ」が付帯しているのです。
ドンキホーテで売られているコスチュームの値札を手にとって見ると、
チャイナ服(¥3000〜5000)
メイド服・制服(¥5000〜8000)
スッチー(¥8000〜)
婦人警官手錠付き(¥10000〜)
と、何かこだわりの一着を買うとしても,
最低、これだけの出費を強いられるのに、
衣装買う→プレゼント→見るだけ
というのは一人暮らしのナカムラくんからすれば、
経済的負担も大きいし見返りが少ないというか全然おいしくない。
コスプレは見たいけどプレゼントして観賞するだけために金使いたくない・・・
ウサ耳(一兎)を追うものはバニー(二兎)を獲ず、を常々口にしているナカムラくんがどのような決断をするのか、オブザーバーとして連れてこられた僕の最大の注目点でした。
40分後
いつのまにか、すごい待たされてた。
コスプレの衣装買うという、史上最低のショッピングに付き合わされて、これだけの時間も待たされた人間というのもそうそういないでしょう!
買い物袋を携えて店から出てきたナカムラの顔は、かなり満足げなご様子。
こんだけ待たしといて「ゲーセンの景品みたいに安っぽい1000円くらいのチャイナ服」とか買ってやがったら締め落とす!
と思ったので、ナカムラが買った衣装を見せてもらうことに。
いや、もちろん路上でそんなもん広げたら即逮捕されちゃうので、
近くのファミレスに行って、隅の座席でコソ〜っと披露してもらいました。
ナカムラ「これがオレの選択っ・・・!」
ざわざわ・・・・
ナカムラは、なんかもう既に着ている姿を想像してテンションが上がっているみたいです。
一体、どんなものを買ったんだッ、と買い物袋から衣装を取り出します!
・ピンクのシャツ
・グレーのポイント柄のネクタイ
・ルーズソックス
僕は、泣いた。
それは軽蔑の涙ではなかった。
むしろ逆だ。
共感して泣いた。
なんなんだ、この完璧なラインナップは。
チャイナ・メイド・ナースなど、コスプレにしか使えないような非日常的なものではなく、シャツ・ネクタイなどという身近にあるものを組み合わせつつ、そこに来てボトムはルーズソックスで固めるというアンバランスさが、逆に全体のバランスを最終的に整えているではないか!!
当然シャツのサイズはLである。
そして何よりも懸案だったコストは、
・シャツ(¥500)
・ネクタイ(¥300)
・ルーズソックス(¥500)
・これらのコンビネーションが実現したときの感動(-Priceless-)
信じられないほどの低出費で済んだ。しかも間接的に感動を買っているのだ!
痒いところに手が届きまくって掻きむしってしまいそうになる、
そんな演出を、僕は、ここ東京の街中で目撃した。
ナカムラ・シュンスケ(仮名)。
この夏、映像関係の会社の内定をもらった男。
それがAV製作プロダクションとかじゃないことを切に願う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
んなわけで、ナカムラくん(以下、コスプレ神)は購入したアーティファクト、
イージスのシャツ
イージスのネクタイ
イージスのルーズソックス
をヴァルキリーに授けるべく、待ち合わせ場所にいった。
僕は、神の所業を草葉の影からそっと見守らんがのごとく、
ホームレスみたいに死んだような肉の腐った雰囲気を漂わせて通行人のふりをしながら、事の顛末を見届けることにした。
待ち合わせ時間。
相手の子が来た。
軽く挨拶。
ナカムラ、早速ブツを渡す。
「わーい、うれしい〜」というリアクション。
女の子、受け取って中身を見る。
袋の中身を見つめながら固まる。
女の子、うつむいたままブツを付き返す。
女の子、そのまま帰る。
コスプレ神、その場に立ち尽くす。
・・・あれ?
神は死んだ!!
新宿・靖国通り沿いにあるドンキホーテで、彼は血眼になって獲物を品定めしていた。
ターゲットは、コスプレ衣装である。
なぜそんなことをしているのか。
だが、そこに至る経緯を述べることには、意味が無い。
今、彼を突き動かしているのは、たった一つの確定的な、
「何か衣装を買ってくれたら着ちゃいますよ♪」
という女の子との約束なのだ。
----------------------------------------------------------
というわけですごくややこしいので事の経緯は省きますが、
衣装を買おうとしているのは僕ではなく友人のナカムラくんです。
僕はナカムラくんの買い物の一部始終を眺めてただけ。←ここ重要!
さて、何の縁かは知らないですけど、
ある日、ナカムラくんに彼女でも何でもない子に着せさせる機会が訪れました。
なんでかよくわかんないですが、とにかくそうなったらしいです。
ただ、彼にとっておいしくないのは、
条件として「衣装は相手に贈呈」・「見るだけ」が付帯しているのです。
ドンキホーテで売られているコスチュームの値札を手にとって見ると、
チャイナ服(¥3000〜5000)
メイド服・制服(¥5000〜8000)
スッチー(¥8000〜)
婦人警官手錠付き(¥10000〜)
と、何かこだわりの一着を買うとしても,
最低、これだけの出費を強いられるのに、
衣装買う→プレゼント→見るだけ
というのは一人暮らしのナカムラくんからすれば、
経済的負担も大きいし見返りが少ないというか全然おいしくない。
コスプレは見たいけどプレゼントして観賞するだけために金使いたくない・・・
ウサ耳(一兎)を追うものはバニー(二兎)を獲ず、を常々口にしているナカムラくんがどのような決断をするのか、オブザーバーとして連れてこられた僕の最大の注目点でした。
40分後
いつのまにか、すごい待たされてた。
コスプレの衣装買うという、史上最低のショッピングに付き合わされて、これだけの時間も待たされた人間というのもそうそういないでしょう!
買い物袋を携えて店から出てきたナカムラの顔は、かなり満足げなご様子。
こんだけ待たしといて「ゲーセンの景品みたいに安っぽい1000円くらいのチャイナ服」とか買ってやがったら締め落とす!
と思ったので、ナカムラが買った衣装を見せてもらうことに。
いや、もちろん路上でそんなもん広げたら即逮捕されちゃうので、
近くのファミレスに行って、隅の座席でコソ〜っと披露してもらいました。
ナカムラ「これがオレの選択っ・・・!」
ざわざわ・・・・
ナカムラは、なんかもう既に着ている姿を想像してテンションが上がっているみたいです。
一体、どんなものを買ったんだッ、と買い物袋から衣装を取り出します!
・ピンクのシャツ
・グレーのポイント柄のネクタイ
・ルーズソックス
僕は、泣いた。
それは軽蔑の涙ではなかった。
むしろ逆だ。
共感して泣いた。
なんなんだ、この完璧なラインナップは。
チャイナ・メイド・ナースなど、コスプレにしか使えないような非日常的なものではなく、シャツ・ネクタイなどという身近にあるものを組み合わせつつ、そこに来てボトムはルーズソックスで固めるというアンバランスさが、逆に全体のバランスを最終的に整えているではないか!!
当然シャツのサイズはLである。
そして何よりも懸案だったコストは、
・シャツ(¥500)
・ネクタイ(¥300)
・ルーズソックス(¥500)
・これらのコンビネーションが実現したときの感動(-Priceless-)
信じられないほどの低出費で済んだ。しかも間接的に感動を買っているのだ!
痒いところに手が届きまくって掻きむしってしまいそうになる、
そんな演出を、僕は、ここ東京の街中で目撃した。
ナカムラ・シュンスケ(仮名)。
この夏、映像関係の会社の内定をもらった男。
それがAV製作プロダクションとかじゃないことを切に願う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
んなわけで、ナカムラくん(以下、コスプレ神)は購入したアーティファクト、
イージスのシャツ
イージスのネクタイ
イージスのルーズソックス
をヴァルキリーに授けるべく、待ち合わせ場所にいった。
僕は、神の所業を草葉の影からそっと見守らんがのごとく、
ホームレスみたいに死んだような肉の腐った雰囲気を漂わせて通行人のふりをしながら、事の顛末を見届けることにした。
相手の子が来た。
軽く挨拶。
ナカムラ、早速ブツを渡す。
「わーい、うれしい〜」というリアクション。
女の子、受け取って中身を見る。
袋の中身を見つめながら固まる。
女の子、うつむいたままブツを付き返す。
女の子、そのまま帰る。
コスプレ神、その場に立ち尽くす。
・・・あれ?
神は死んだ!!
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